金利と利回りによる投資判断
本件は、アップロードしようか迷いましたが、せっかく書いたので、アップしておきます。駄文ですので、読みたい方だけお読みください。
■「利回り」の意味するところ
当室は利回りを重視する投資姿勢であること、これは何度か触れた通りです。「利回り」というのは、投資対象商品を売却処分などで金額的に確定させるまでは、当然ながら確定的なものとは言えませんので、たとえば株式配当利回りやリートの分配金利回りなども、或る時点での一つの目安に過ぎません。「利回り」という言葉の用例としては、従来から元本変動商品に対しても広く一般的に用いられていますので、単に「利回り」と言えば、固定利回り、変動利回り両方の意味を有していると解釈するのが自然でしょう。
これに対して、「金利」という場合は確定的な内容であり、定期預金や固定利付国債など、いずれも金利が付く確定利息商品です。定期預金のように元金が変動しない商品の場合は、「金利」=「利回り」であり、両者が一致します。ただし、国債の固定金利ものでも、償還までの期間中は、金融情勢によって売買価格が変動しますので、中途処分する場合の運用上の「利回り」は毎日、毎時間、刻々と変化します。
投資家としては、より有利な運用対象を選択するという動機から、様々な商品の金利や利回りを相互横断的に比較するのは当然の事柄であります。「利回り」と称する場合は、計算の前提として変動や変化が付き物であり、その不確実性は相応にあるとしても、投資家自身がその前提を理解していれば、投資対象を選別する尺度や目安としての有効性は十分に持っています。
マルキール博士もインデックス・ファンドの運用成果や有利性をリターンの大小、つまり利回り比較でもって説明しているように、利回りによる投資商品全般の相対的な有利性の比較判断は、一般性、普遍性を持つものであって、これがなければポートフォリオ理論とて存立できなくなってしまいます。
そうしたわけで、当室で「資産増加率」と表現する場合には、元本変動商品での「資産運用中」であるからには、いわば必然的に、或る一時期における静止した「評価元金」を1年前の同時期の「評価元金」と比較、差し引きして便宜的に増加率(=利回り)を算出していることは、説明するまでもありません。これは企業が決算を行うのと同様の考え方であり、日々の活動で流動的に変化している企業の資産・負債・収支を便宜的に1年間を1期と取り決めて、その期末時点での数値を集計し、決算報告しているのと同じことです。
現状における「資産増加率」は、あくまでも1年間の運用成果のアバウトな目安ということに過ぎませんので、すぐ翌日にはすでに変動してしまっているのが当然で、本当の意味での最終的な確定利回りは、投資活動から将来引退する時に、運用資産をすべて処分換金して初めて判明することになります。運用方法の優劣もまた、当然ながらその時点で判明します。
■投信手数料の大小の影響
なお、投信手数料などのコストの多寡が、運用成績に影響するのは当然であり、コストの高い方が運用上不利なのは自明です。運用コストの多寡について見れば、毎月分配型投信が不利であることはすでに何度も触れていますが、それでも事実として運用成果は十分上がっていますし、また基本的に当室の場合は、アバウトな性格なのと、投信保有と言っても長期保有とは限りませんので、パッシブ・スタンスで長期保有が信条の投資家ほどには保有コストの大小にそれほど神経質になる必要性は乏しく、売却までに運用成果が上がれば多少のコスト差程度は十分に埋め合わせ可能という認識でいます。
要は、「短期処分が有りか無しか」という投資スタンスの差、および投資に対する考え方の差異も、コスト認識に影響するということです。「インデックス・ファンドの短期処分も情勢次第で有り得る」スタンスの当室としては、若干コスト高の商品でも運用実績が上がって元が取れれば良い、というのが基本的考え方であり、その昔、私の記憶では鄧小平が発言したように「黒猫であろうが白猫であろうがネズミを捕るネコが良いネコだ」ということと同様に、「手数料が高い投信でも低い投信でも、値上がりする投信が良い投信だ」ということです。
若干コスト高の商品は中長期的には不利で割り負けする可能性が大きくなりますが、短期的には必ずしも負けるとは限りませんから、要するに、コスト割高投信を買うかどうかは、投資家の投資スタンス、および見通しと判断に大きく依存する問題だと言えます。客観的な商品性だけ見れば、コスト割高商品が不利なのは明らかで、買うと損です。
■バフェットとソロスの投資スタンス
現在、ウォーレン・バフェット80歳、ジョージ・ソロス80歳。年齢と資産運用形成に関係はありません。また同時に、資金力も関係ありません。
20代、30代の方の元手資金作りに関しては、収入の25%を継続貯蓄して財をなした本多静六氏「私の財産告白」の話を紹介しましたし、また実際にマイカーを持たなければ年間100万円程度の資金作りは十分可能である点、すでに以前の当ブログで説明しました。
一生懸命働いて、5年間程度必死で貯金すれば、500万円くらいの貯金は十分できるものと思います。本業に注力することこそが、自分という一番大事な資産の上手な「運用方法」であり、かつまた一番確かで大きな稼ぎが期待できるものであって、金銭的な「資産運用」なるものは、本業で十分充実した成果を上げている人が付随的に行うのが、本来のあるべき姿というものです。まあ、それもこれも個人の自由な判断に基づくものであれば、各人の価値観次第ですから、本末転倒しようが何ら問題ありませんし、当室の関知するところでもありません。
運用による資産形成という場合には、ただ単に投信などをじっと持っているだけというのではなくて、或る程度ポートフォリオ内容を動かす必要があります。ジョージ・ソロスはもちろんとして、「保有期間は永久」というほどの長期投資が信条のバフェットとて、これまでに買った株をすべてじっと持っていたわけではなく、適宜処分し入れ替えています。配当金や株価の上昇だけで、バフェットの規模の資産を形成するのは明らかに不可能です。
バフェットの場合は、小刻みな短期売買はしていないとしても、中長期的な売り時買い時の見極めが確かであることから、巨額の資産形成に成功しているわけで、その背景としては、企業価値の分析とともに、マクロ経済政策、マクロ経済動向に対する洞察力と理解力が存在しているというのが、当室の見解です。
もっとも、当室管理人にはソロスやバフェットのような投資の才能はとてもありません。ただ、両者の投資活動を参考とすることは可能ですし、その点についてはこれまでにも何度も触れてきています。またバフェットとソロスは篤志家としての活動も顕著で、そのあたりも、いささかでも真似できればと思います。
■資産形成と運用概念に関する蛇足
まったくの蛇足ながら、当室管理人は、大学時代から株取引をしていますので、経験年数は30年少しということになりますが、年齢は山崎元氏や森永卓郎氏とほぼ同じです。同様にややへそ曲がり的オタク的要素があるのは、団塊の世代にずっと抑圧を受けてきたという長い歴史的世代的事情があるため、やむを得ないのかも知れません。
また、当ブログは、結構メジャーな立場の隠れ読者がいる可能性も感じています。当室管理人の勘繰り過ぎかも知れませんが、いずれにしても、各種ブログやコラムなどの考察内容が深化・発展するのは歓迎すべき事柄と思いますので、引き続き少しへそ曲りでやや過激な論考を継続する所存です。
ところで、以前、当室管理人が勤務していた中小企業の社長は、株式投資が大好きで、その日の歩く姿勢が日経平均に連動していました。ですから、社長の姿勢具合いを見ただけで、その日の日経平均が上昇しているのか、下落しているのかが明瞭に判定できたものです。同様に、ブログや論説の内容、論調についても、本人の運用成績が良好であれば相応の論調となりますし、また逆に成績が不振であれば刺々しい内容となりかねません。読めばすぐに分かりますので、当室としても十分に自戒したいところです。
■個別株の選択基準
以上、面白くもない話が続きましたので、個別株選別の話を付記しておきたいと思います。
当室は、個別株は配当利回りを中心指標として選別しています。それ以外は遠藤四郎氏の投資法(以前当ブログで紹介済み)を模倣したもので、選別基準は概略次の通りですが、杓子定規な選別はしておらず、結構アバウトな選定です。
①配当利回り3%以上(優待を含む)
②小型株で時価総額100億円以下
③発行株数が1000万株以下
④有力企業が大株主
⑤事業内容の明確さ、あるいは将来性
⑥株価チャートの動向
⑦金額上限を設定して集中投資は避ける。
⑧できればPBR1倍以下
簡単に言えば小型バリュー株への分散投資であり、小型株の方が上がる時は早いので、個別株投資の場合は基本的に小型株に限定しています。
ただし、集中投資で一度大失敗した話を書きましたように、集中投資は今後も行わない方針であり、一つの個別株当たりの投資上限額を設定してそれを守るようにしています。遠藤氏は集中投資を好むようでしたので、その点は大きく異なります。短期間で10%の下落、あるいは20-30%上昇したものについては処分を検討しますが、長期投資の視点が基本ですので、チャート次第での判断になります。
現在のような相場全体が横ばいか、やや上昇という地合いには向いているもの思います。
なお、この投資方法の欠点は、投資対象株式の流動性が低いことにあり、株式市場全体の相場地合いが悪い場面ですと、売ろうに売れないまま大幅な下げとなってしまうことにあります。ご注意ください。
■「利回り」の意味するところ
当室は利回りを重視する投資姿勢であること、これは何度か触れた通りです。「利回り」というのは、投資対象商品を売却処分などで金額的に確定させるまでは、当然ながら確定的なものとは言えませんので、たとえば株式配当利回りやリートの分配金利回りなども、或る時点での一つの目安に過ぎません。「利回り」という言葉の用例としては、従来から元本変動商品に対しても広く一般的に用いられていますので、単に「利回り」と言えば、固定利回り、変動利回り両方の意味を有していると解釈するのが自然でしょう。
これに対して、「金利」という場合は確定的な内容であり、定期預金や固定利付国債など、いずれも金利が付く確定利息商品です。定期預金のように元金が変動しない商品の場合は、「金利」=「利回り」であり、両者が一致します。ただし、国債の固定金利ものでも、償還までの期間中は、金融情勢によって売買価格が変動しますので、中途処分する場合の運用上の「利回り」は毎日、毎時間、刻々と変化します。
投資家としては、より有利な運用対象を選択するという動機から、様々な商品の金利や利回りを相互横断的に比較するのは当然の事柄であります。「利回り」と称する場合は、計算の前提として変動や変化が付き物であり、その不確実性は相応にあるとしても、投資家自身がその前提を理解していれば、投資対象を選別する尺度や目安としての有効性は十分に持っています。
マルキール博士もインデックス・ファンドの運用成果や有利性をリターンの大小、つまり利回り比較でもって説明しているように、利回りによる投資商品全般の相対的な有利性の比較判断は、一般性、普遍性を持つものであって、これがなければポートフォリオ理論とて存立できなくなってしまいます。
そうしたわけで、当室で「資産増加率」と表現する場合には、元本変動商品での「資産運用中」であるからには、いわば必然的に、或る一時期における静止した「評価元金」を1年前の同時期の「評価元金」と比較、差し引きして便宜的に増加率(=利回り)を算出していることは、説明するまでもありません。これは企業が決算を行うのと同様の考え方であり、日々の活動で流動的に変化している企業の資産・負債・収支を便宜的に1年間を1期と取り決めて、その期末時点での数値を集計し、決算報告しているのと同じことです。
現状における「資産増加率」は、あくまでも1年間の運用成果のアバウトな目安ということに過ぎませんので、すぐ翌日にはすでに変動してしまっているのが当然で、本当の意味での最終的な確定利回りは、投資活動から将来引退する時に、運用資産をすべて処分換金して初めて判明することになります。運用方法の優劣もまた、当然ながらその時点で判明します。
■投信手数料の大小の影響
なお、投信手数料などのコストの多寡が、運用成績に影響するのは当然であり、コストの高い方が運用上不利なのは自明です。運用コストの多寡について見れば、毎月分配型投信が不利であることはすでに何度も触れていますが、それでも事実として運用成果は十分上がっていますし、また基本的に当室の場合は、アバウトな性格なのと、投信保有と言っても長期保有とは限りませんので、パッシブ・スタンスで長期保有が信条の投資家ほどには保有コストの大小にそれほど神経質になる必要性は乏しく、売却までに運用成果が上がれば多少のコスト差程度は十分に埋め合わせ可能という認識でいます。
要は、「短期処分が有りか無しか」という投資スタンスの差、および投資に対する考え方の差異も、コスト認識に影響するということです。「インデックス・ファンドの短期処分も情勢次第で有り得る」スタンスの当室としては、若干コスト高の商品でも運用実績が上がって元が取れれば良い、というのが基本的考え方であり、その昔、私の記憶では鄧小平が発言したように「黒猫であろうが白猫であろうがネズミを捕るネコが良いネコだ」ということと同様に、「手数料が高い投信でも低い投信でも、値上がりする投信が良い投信だ」ということです。
若干コスト高の商品は中長期的には不利で割り負けする可能性が大きくなりますが、短期的には必ずしも負けるとは限りませんから、要するに、コスト割高投信を買うかどうかは、投資家の投資スタンス、および見通しと判断に大きく依存する問題だと言えます。客観的な商品性だけ見れば、コスト割高商品が不利なのは明らかで、買うと損です。
■バフェットとソロスの投資スタンス
現在、ウォーレン・バフェット80歳、ジョージ・ソロス80歳。年齢と資産運用形成に関係はありません。また同時に、資金力も関係ありません。
20代、30代の方の元手資金作りに関しては、収入の25%を継続貯蓄して財をなした本多静六氏「私の財産告白」の話を紹介しましたし、また実際にマイカーを持たなければ年間100万円程度の資金作りは十分可能である点、すでに以前の当ブログで説明しました。
一生懸命働いて、5年間程度必死で貯金すれば、500万円くらいの貯金は十分できるものと思います。本業に注力することこそが、自分という一番大事な資産の上手な「運用方法」であり、かつまた一番確かで大きな稼ぎが期待できるものであって、金銭的な「資産運用」なるものは、本業で十分充実した成果を上げている人が付随的に行うのが、本来のあるべき姿というものです。まあ、それもこれも個人の自由な判断に基づくものであれば、各人の価値観次第ですから、本末転倒しようが何ら問題ありませんし、当室の関知するところでもありません。
運用による資産形成という場合には、ただ単に投信などをじっと持っているだけというのではなくて、或る程度ポートフォリオ内容を動かす必要があります。ジョージ・ソロスはもちろんとして、「保有期間は永久」というほどの長期投資が信条のバフェットとて、これまでに買った株をすべてじっと持っていたわけではなく、適宜処分し入れ替えています。配当金や株価の上昇だけで、バフェットの規模の資産を形成するのは明らかに不可能です。
バフェットの場合は、小刻みな短期売買はしていないとしても、中長期的な売り時買い時の見極めが確かであることから、巨額の資産形成に成功しているわけで、その背景としては、企業価値の分析とともに、マクロ経済政策、マクロ経済動向に対する洞察力と理解力が存在しているというのが、当室の見解です。
もっとも、当室管理人にはソロスやバフェットのような投資の才能はとてもありません。ただ、両者の投資活動を参考とすることは可能ですし、その点についてはこれまでにも何度も触れてきています。またバフェットとソロスは篤志家としての活動も顕著で、そのあたりも、いささかでも真似できればと思います。
■資産形成と運用概念に関する蛇足
まったくの蛇足ながら、当室管理人は、大学時代から株取引をしていますので、経験年数は30年少しということになりますが、年齢は山崎元氏や森永卓郎氏とほぼ同じです。同様にややへそ曲がり的オタク的要素があるのは、団塊の世代にずっと抑圧を受けてきたという長い歴史的世代的事情があるため、やむを得ないのかも知れません。
また、当ブログは、結構メジャーな立場の隠れ読者がいる可能性も感じています。当室管理人の勘繰り過ぎかも知れませんが、いずれにしても、各種ブログやコラムなどの考察内容が深化・発展するのは歓迎すべき事柄と思いますので、引き続き少しへそ曲りでやや過激な論考を継続する所存です。
ところで、以前、当室管理人が勤務していた中小企業の社長は、株式投資が大好きで、その日の歩く姿勢が日経平均に連動していました。ですから、社長の姿勢具合いを見ただけで、その日の日経平均が上昇しているのか、下落しているのかが明瞭に判定できたものです。同様に、ブログや論説の内容、論調についても、本人の運用成績が良好であれば相応の論調となりますし、また逆に成績が不振であれば刺々しい内容となりかねません。読めばすぐに分かりますので、当室としても十分に自戒したいところです。
■個別株の選択基準
以上、面白くもない話が続きましたので、個別株選別の話を付記しておきたいと思います。
当室は、個別株は配当利回りを中心指標として選別しています。それ以外は遠藤四郎氏の投資法(以前当ブログで紹介済み)を模倣したもので、選別基準は概略次の通りですが、杓子定規な選別はしておらず、結構アバウトな選定です。
①配当利回り3%以上(優待を含む)
②小型株で時価総額100億円以下
③発行株数が1000万株以下
④有力企業が大株主
⑤事業内容の明確さ、あるいは将来性
⑥株価チャートの動向
⑦金額上限を設定して集中投資は避ける。
⑧できればPBR1倍以下
簡単に言えば小型バリュー株への分散投資であり、小型株の方が上がる時は早いので、個別株投資の場合は基本的に小型株に限定しています。
ただし、集中投資で一度大失敗した話を書きましたように、集中投資は今後も行わない方針であり、一つの個別株当たりの投資上限額を設定してそれを守るようにしています。遠藤氏は集中投資を好むようでしたので、その点は大きく異なります。短期間で10%の下落、あるいは20-30%上昇したものについては処分を検討しますが、長期投資の視点が基本ですので、チャート次第での判断になります。
現在のような相場全体が横ばいか、やや上昇という地合いには向いているもの思います。
なお、この投資方法の欠点は、投資対象株式の流動性が低いことにあり、株式市場全体の相場地合いが悪い場面ですと、売ろうに売れないまま大幅な下げとなってしまうことにあります。ご注意ください。