オニール氏「円安の潮目来た」 米で広がる日本株人気(?)

先週11/12~16は、選挙後の総理就任が予想される安倍自民党総裁の金融緩和政策発言への期待感などで為替レートが円安となり、日経平均は大幅に上昇しましたが、その原動力は外人買いだったようです(※1)。先週は個人の売り越し、外人の大幅買い越しでした。外人は為替相場だけを見て投資判断しているように見えます。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長ジム・オニール氏は、ここ数年来円安説で予想は外れ続けていますが、最近、まだ数カ月は不透明という条件つきながら、円安に潮目が変わったとの主張をしている様です(※2)。

しかしながら、この主張は若干時期尚早であると思います。おそらくは、衆議院選挙投票日の12月16日までは円安株高が継続しそうですが、その後は分かりません。

未解決の欧州債務問題あり、中国の経済低迷あり、米国財政の崖問題あり、頑固な白川日銀総裁あり、日本の衆参ねじれ国会ありで、当室の印象では、またまた円高株安に反動振れしそうに思います。11月16日の衆議院解散後、円安はやや急速でありますので、一時戻しが必ずあります。

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 (ドル円1年間:SBI証券より引用)
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 (ユーロ円1年間:SBI証券より引用)

[以下、引用]
◆(※1)株、海外投資家が2週ぶり買い越し・11月2週 円安で大型株に買い/日経新聞WEB刊より

2012/11/22 18:55 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  
東京証券取引所が22日発表した11月第2週(12~16日)の投資部門別株式売買動向(東京・大阪・名古屋3市場、1部、2部と新興企業向け市場合計)によると、海外投資家(外国人)が2週ぶりに買い越した。買越額は1292億円で、10月3週(1546億円)以来の多さ。野田佳彦首相が14日に衆議院の解散方針を表明。選挙後の次期政権の政策をにらんだ円高修正が進むなか、「外国人は輸出関連など主力大型株に買いを入れた」(準大手証券の機関投資家営業担当者)という。

この週の日経平均株価は266円(3%)高だった。衆院選後に第1党に復帰するとの見方がある自民党の安倍晋三総裁が日銀に積極的な金融緩和を求める姿勢を打ち出したことで、円安が進行。日本株も輸出関連株中心に上げた。投資信託も4週ぶりに買い越しに転じ、買越額は188億円と10月1週以来の多さとなった。

一方、逆張りの動きを取りやすい個人投資家は2週ぶりに売り越した。売越額は1081億円と10月3週以来の高水準。信用取引、現金ともに売り越した。週後半の相場の上昇局面で戻り待ちの売りを増やしたとの見方が多い。生保・損保は10週連続の売り越し、信託銀行は4週連続の売り越しだった。証券会社の自己部門も646億円の売り越しだった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


◆(※2)オニール氏「円安の潮目来た」 米で広がる日本株人気/日経新聞WEB刊より
豊島逸夫の金のつぶやき
2012/11/20 9:26 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  「We want Abe!」(我々は安倍氏を望む)

BRICsの名づけ親として有名なゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長ジム・オニール氏の最新公式ニュースレターの見出しである。彼はここ数年円安説に傾いていた。今年1月には「円は25%過大評価、日本の黒字は終わりか」と述べ、同9月には「日銀はFRBを見習ってもっと果敢な金融緩和を」と語っていた。

そしてこの日曜日(18日付)ビューポイントというニュースレターで、「我が意を得たり」とばかり自説を披瀝(ひれき)した。原文が手元にあるので以下翻訳する。

「Japan, Abe and the Yen」(見出し)

今日のリポートの最後に、簡潔に持論を述べておく。1985年9月のプラザ合意からゴールドマン・サックスに入社する1995年秋まで私は円高派であった。その後、しばらくドル高派に転じたが、97年以来円高派に戻った。私の円の理解はシンプルで、日本の国際収支(特に経常収支)の根強い強さから生じるドル円均衡レートの上昇だった。

しかし、それが最近逆転した。日本は経常赤字を数十年ぶりに記録。過大評価された円レート、崩壊しつつ構造改革されない経済、ギリシャ問題などたやすいと思わせるほどの債務問題、インフレターゲットに(現在は)強く動かぬ中央銀行、そして、やはり脆弱な経済。それに加えて、中国などとの関係複雑化。この関係はアジア諸国のために良くなければならず、ひいては我々世界諸国にも良くなければならない。

とにかく近々総選挙があり、自民党の復権となろう。新首相になるであろう人物は、この2週間で3回「日銀に3%のインフレターゲットを必要とあらば強制する」と語ってきた。これは、90年代半ばから後半にかけて、外国から日本に多くの人はアドバイスしてきたことで、その時点では、彼らは円安に賭けて敗れた。

しかし、今や時は来たようだ。これらの人物をリタイア生活から引きずり出せ。円の見通しははっきり分かれている。方向感を決められずズルズルと進行するか、今後数カ月で急落するかだ。私の意見では、最も興味あるマクロ事象だ。私はこの数年、ますます円に対してネガティブになってきた。しかし、ここまでは、結果的に間違えていた。しかし、今や、事態は明らか。時は来た。(引用終わり)


要は、まだ数カ月は不透明という条件つきながら、円安に潮目が変わったとの主張である。「We want Abe!」というような強い見出しで、ジム・オニール氏のような影響力ある人物が「安倍円安」を海外で語っていることは注目に値する。

そして、米国人の個人投資家レベルにまで日本株人気が拡散してきた事象も出てきた。ニューヨーク証券取引所に上場されている日本株ETFの出来高が急増していることだ。

代表的銘柄iシェアーズ・MSCIジャパン・インデックス・ファンド(ティッカーEWJ)の価格が先週8.7ドル台から19日は9.19ドルまで一本調子で上昇する過程で、出来高が19日は4783万5919株と過去3カ月平均の1472万9500株に比し3倍に増えている。価格上昇が加速した15日には8千万株の大台を超えている。

米国ではセクター別のETF市場が発達しており、個人投資家のリスク分散運用の有効なツールとして定着している。ゆえに、EWJが動意づいたことは、米国人個人投資家が日本株に注目し始めた現象として興味深い。時あたかも、米国は財政の崖、欧州はギリシャ問題不透明、中国経済減速、中東情勢緊迫化の中で、日本の政局が「閉塞感を打開するか」と期待しての投資家の反応であろう。

なお、米国の日本株ETFは色々品ぞろえがあるが、為替ヘッジつきが人気だそうだ。米国人から見れば日本株は外貨投資であり、円の為替リスクがつきまとう。特に円安見通しが強まると、円先物売りでヘッジするタイプが選好されるわけだ。外為市場が注目するシカゴ通貨先物市場の円売りポジション増加の一端がここにも見られる。

[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]

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