人類史上最大の不動産バブル

橘玲氏のブログ世界投資見聞録に、参考となる記載がありましたので、抜粋しておきたいと思います(※1)。

川島博之氏の『データで読み解く中国経済―やがて中国の失速がはじまる』(東洋経済新報社)によるものとされる、次の部分には注目しておくべきでしょう。

「中国全体の地価総額は266兆元(約4250兆円)で、中国のGDPの6.6倍になる。バブル最盛期の1989年末、日本の地価総額は2136兆円に達し、当時のGDPの約4.4倍になったとされる。それと比較しても中国の不動産バブルは異常で、“人類史上最大”と形容されるのも無理はない。」

ちなみに、川島氏の本は当室管理人も持っており、2012.11.22付の発行となっています。不動産バブルは中国政府の腕力で破裂することなく維持されるのか、それとも経済の経験則に従って崩壊するのか、そのいずれになるのかは時間が経過しないとはっきりしませんが、経済の経験則を重視する当室管理人としては、もちろん後者であると思います。

シャドーバンキング騒ぎの様な経済変調の兆候もあり、いずれにしても、それほど遠くないうちに結論が出るものと思われます。


[以下、引用]

(※1)裏マネーと”人類史上最大”の不動産バブル
[橘玲の世界投資見聞録]より抜粋
2013年7月11日
具体的な数字を示して中国の不動産バブルの実態を推計している川島博之氏の『データで読み解く中国経済―やがて中国の失速がはじまる』(東洋経済新報社)を紹介したい。

川島氏はまず、中国統計年鑑から、21世に入ってから中国市場への投資額が指数関数的に増えていることを示す。2006年以降5年間の投資額の平均増加率は27%で、とりわけリーマンショック後の4兆元景気対策の効果で2009年の伸び率は37%という驚異的なものになっている。さらに、景気対策のなくなった2010年でも投資額は前年比24%増で、金額にすると31.1兆元(約500兆円)。近年の中国の経済成長は、日本のGDPに匹敵する巨額の投資によって支えられているのだ。

川島氏の推計によれば、中国全体の地価総額は266兆元(約4250兆円)で、中国のGDPの6.6倍になる。バブル最盛期の1989年末、日本の地価総額は2136兆円に達し、当時のGDPの約4.4倍になったとされる。それと比較しても中国の不動産バブルは異常で、“人類史上最大”と形容されるのも無理はない。

中国ではいま、“富への扉”が閉じられつつある。金融市場の混乱は、なんとしても自分だけは“金塊”に辿りつこうとする、地方政府の幹部たちの最後の苦闘を反映しているのだろう。

年率30%ちかい投資の伸びを維持するのは不可能で、いずれ不動産バブルは崩壊し、理財商品はデフォルト(償還不能)になるだろう。

そのときに中国の経済や社会になにが起きるのかは、誰にも予想できない。唯一確かなのは、その時期はさほど遠くない、ということだけだ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]

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