ウクライナ戦争

2月24日、ロシアがウクライナに対する軍事侵攻を開始し、対するウクライナ軍も想定以上に激しく抵抗していて各地で戦闘が行われています。ウクライナ国境に配備されたロシア軍の総数が19万人であり、ウクライナ軍の14万人に対して余り多くないため、ロシア側の落とし所としては、親ロシア勢力が強いウクライナ東部2州の占領にとどまるものと思いました。しかし、実際には露軍が全面侵攻してしまいました。プーチンの想定としては、脅しを掛ければ短期間のうちに、ウクライナは降伏するだろうと、楽観的に見ていた様に見えます。それ故か、ロシア兵は訓練不足の若い将兵が多く、補給物資も不十分で、ガス欠の戦車や装甲車が多発している様です。

それ以外にも、米軍が直接参戦はしないとしても、まさかこれほど素早くSWIFTからロシアが外されるとまでは、プーチンも想定していなかったものと思います。ルーブルの価値が大幅に下落し、国内は銀行取り付け、海外は貿易停止、物価は急上昇して、ロシア経済は間違いなくスタグフレーションに転落します。まだ戦争開始から1週間ですが、今後、戦争が長期化すれば、国民の不満が高まって、プーチンの首も危ないと思います。ただ、ロシアのGDP規模は韓国レベルであり、世界経済への影響は大きくはなさそうです。影響があるのは、ロシアから欧州へのエネルギー供給縮小で、これはエネルギー価格の上昇という形で、世界全体で負担することになります。

一方で中国は、この情勢を台湾侵攻と重ね合わせて、脂汗を流しながら、真剣に眺めているでしょう。SWIFTからここまでスピーディにロシアが排除されるとは、中国にとっても大変な想定外だったと思います。しかもここへ来て、台湾へは、すかさずポンペイオ前国務長官が訪問していますし、米国の肩入れがある点、ウクライナと台湾とは様相が異なります。中国による台湾制圧は、簡単には行かないと思いますし、今回の「前例」により、中国は絶望的な心境になっているはずです。この間に、日本は軍備を増強するべきです。DGP比で2%までの増額は、米国も反対しないと思います。戦後から今日まで、米国は日本国内に基地を多数維持し、恐らくはまだ心底、日本を信用はしていません。多分、2発の原爆投下、および各都市への大規模空襲による民間人虐殺に対する報復を恐れているのでしょう。それ故に、日本の核兵器の保有は米国が承認しないと思いますが、対中防備の一環としての軍備増強は承認するでしょう。

それはそれとして、今回のウクライナ戦争で発覚した露軍の弱兵振りには驚きました。自衛隊の練度と比較すると、全くの烏合の衆と言い得ます。元々、自衛隊機1機に対抗するには、露軍機3機が必要だと言われていますが、ウクライナ戦争を眺める限り、実際の戦力差はもっと有りそうです。露軍の士気も低そうですし、作戦的にも、露軍による東京大空襲の様な大爆撃を想定していましたが、空爆は少なく、逆に破壊されたり、放置・鹵獲されたりする露軍戦車や装甲車の数の多さは異常です。宇軍は士気が高く、露軍は士気が低い。露軍には食料品も2015年の期限切れ品が支給されているというテレビ報道もあり、露軍兵がウクライナで食料品を略奪している映像も流れています。戦闘どころではないのか。露軍は兵站補給が異様にお粗末です。プーチンが短期決戦を希望するのであれば、当然ながら精鋭部隊を投入するはずなのに、それが出来なかったというのは、露軍内部に反プーチンの機運が生まれているからかも知れません。さすがに露軍がここまで弱体なのは奇妙です。
20220303ロイター.jpg(ロイターより引用)

なお、国際条約は遵守すべしという論調もありますが、今回のことを見ても分かる通り、中露は国際条約など守りません。核保有国というのは、米国を含めて、自国の都合でどうにでも理屈を付けてしまいます。国際条約は戦争ともなれば守られないのだという前提で、あらゆる手段を講じて日本を防衛する必要があるのだと認識しておく必要があります。

ドイツも軍備増強に舵を切りました。露軍侵攻の恐怖から、軍需産業の株価は当面上がりそうです。戦争は買い、というのが株式投資の大筋ですが、ただ、中国経済がかなり厳しい様子なので、ポジションは絞り、現金比率を多くしておく方が無難だと思います。中国の地方マションは、1戸が50万円レベルで売られているという噂、ホントですかね。ホントだとすると、不動産価格は暴落も暴落、大暴落です。

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